65 宮城県女川町 避難所となった原発

「高台に逃げろ 高台に逃げろ これが最後の放送です」
女川町 防災放送。
河北新報 2011年08月26日 証言 より

女川は非常に小さい町だ。5年に約1000人の人口が減って行っている。
しかし県民は誰でも知っている。
原発の存在があるからだ。

女川は中心部分が波高17mとも言われ、遡上は20m以上、信じがたい威力と高さを持って真横にビルをなぎ倒した。

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ビルの裏側はなかなか見た事が無いはずだ

「丘の上のどう見ても高台で安全に見える病院」も2m浸水、4名が死亡した。
またここだけではないが、引き波で引きずり込まれた建築物が海底に都市を形成しているという。
女川の津波で孤立した妻と母親をスキューバダイビングで生還させた英雄は世界で報道された。

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宮城県女川町
人口 10,016名
死者 575名
行方不明者 340名
家屋大半が全半壊、壊滅的被害

(女川町、宮城県発表)

「女川原発周辺で放射線量が通常の4倍検出されたということです・・・」
(当時のラジオ。実際は福島原発より飛散した放射性物質が原因だったが、現地を知らない宮城県民にとって恐怖の対象となったはずだ)

女川原発に津波は直撃。しかし耐えた。そして避難所としても機能した。頑丈な場所はかくあるべき、と思わせる何かがある。

「明治三陸津波や昭和三陸津波よりも震源が南にある地震,例えば貞観や慶長等の地震による津波の波高はもっと大きくなることもあろう。」(東北電力)
東北電力は昭和45年に敷地標高14.8mを津波対策に決定。
この根拠の優れたところは、当時発見されていた物的な証拠(堆積物等)では無く、古文書を信じたところにある。
本震災で直撃した津波は約13m。防ぎきることになる。

通常、会社とはなるべく無駄なお金を使わないために、「セキュリティには必要十分と”思い込みたい”だけお金をかける」かけるものだ。往々にして必要なお金もかけずに崩壊することになる。
本社の所在地仙台が女川に近い(直線で60km)と言う事もあったのか、元々真っ当な人間とはこういうものだからか・・・・(この表現は、最終章に真っ当ではない人間が登場するためになる)

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女川原発反対の看板がイヤでも原発を意識させる。「事故で止まるか みんなで止めるか」歯切れが良いフレーズであり、非常に良く出来ている。

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海上保安庁「ざおう」が厳重に女川原発を警備する。
非常に頼もしい光景だが、このコストはどこが・・・まあ実践演習をかねてだろうか・・・
もともと、海上保安庁の原発反対派排除は本当かどうか知らないがよく聞く話ではある

女川と言う事で明るいクジラの話もしておく。女川の某氏から「某クジラの尾の身」をいただいたが、これは今まで食べた肉の中で最もおいしいとすぐに確信出来るものだった。
クジラは、というより生物の肉の味を評価するに当たって、新鮮な尾の身の刺身を食べてから評価していただきたい。

参考 東北電力株式会社 女川原子力発電所における津波評価・対策の経緯について