59 復興イベント3

yushis

中心が私なのは、同期で並ぶと身長が大きい者が真ん中というしきたりがあるらしいからだ(その時初めて知ったが)

手短に説明しておくと、応援団はその個体数も少なく、野球やサッカーと違い友人でやっていたという人も少ないので解りづらいとは思う。
しかしこれは津波と異なり、大体想像通りであっている。
廃団となった危険な応援団もあれば、安全な応援団もある。私が1年生の時に4年が「今後一切の暴力を禁ずる」といった穏健派であったため、平和な方だった。
こういった古風な格好をすると、ややお年を召した方々や、意外にも若い娘たちにも受けは良いのである。
チアリーダーは応援団員目当てで始めるといった理由がかなり多い。(残念ながら、他校の、とかが付いたりするわけだが・・・)

5人もいると3人と違い、太鼓と大団旗と呼ばれる巨大な旗を立てても人数が少なすぎないギリギリの人数である。
エールはなかなか好評だったらしく、地元ローカル新聞も大きい紙面で取り上げてくれたと言う事だ。どんな様子だったかの写真は無いわけだが・・・
復興グッズもお店の方々から戴いた。

有志たちを東京で下ろす。
彼らも昔に戻ったような錯覚に入ったようで、満足したようだ。

「本当にありがとう。感謝している」
「おお、また呼んでくれよ」
「おいおい本当かよ。なんか2週間後?も○○であるらしいけど。次は向かえにいけねーぞ」
「に、2週間後かよ」
そんなやり取りをする。

しかしというか、春から続く様々なイベントやら見舞金やらは着実に(もともと大して無いが・・・)貯金を圧迫するのである。

・・・新沼さん・・・市の○○が使いづらくてさ、どうにかして改善したいんだけど・・・
・・・○○使えばコンビニで全部終わりますよ。そんなに複雑にはならないはずです・・・
・・・本当か、助かるよ・・・予算○○円引っ張れるから、話が決まったら頼むよ・・・

・・・新沼君、今度、うちの大学で助教を探してるんだ。○○教授が年でおやめになるのでね・・准教授になれる人を探してるんだよ。やってみないかい・・・
・・・いいですね・・・
・・・じゃあちょっと説明するよ・・・

・・・10kg、痩せた・・みんな流されて、車を流されちゃってね。食事より先に車を買わなきゃいけない。田舎は仕事をするにも車が無いとね・・・

「・・・・・まあ、いいけど」
青くて巨大な財布でも買って完全に貯金リセットから始めることにしよう。
なんとなく、津波にのまれたって感じがするし・・・

自分の会社のため、給与支払い遅延がないというのが解っているため、大して恐ろしい事ではないのである。
もちろん津波を意識して高台に職場や家を置いたから守られるのは自然の流れなのだが、何となくこんな中ヌクヌクとしすぎているのも気持ち悪いものだ。

「一泊3000万の、高い部屋だったよ」
(引っ越した翌日に家を流された被災者の言葉。「被災地の本当の話をしよう」戸羽太(陸前高田市市長) ワニブックス)

そんな話を聞くとちょっと使いたくもなるだろ?

さて貯金でもしようか。