スクワットチャレンジ

これは言語pythonのあるクラスタのアドベントカレンダーです。
友人にスクワットチャレンジについてどこかにまとめておいて欲しいとのことで、こちらにまとめておきます。
※口調は過去連載していたスポーツ専門誌の世界観に合わせてあります。

友人のwozozo氏(以下w氏。20代後半そこそこ)はクラスタが集うチャット部屋で突如、スクワットチャレンジというワードについて切り出してきた。
聞けば、座っていただけ?で膝の周囲が筋肉痛になり危機感を抱いたという。
状況から見るに筋肉痛というのは何かの間違いで、膝の関節痛ではないかと思うところだが、どうも本当に筋肉痛のようだ。
w氏は高身長だが膝関節を痛めるような体重と言うより、明らかに体重が少ない見た目をしている。俗に言う「痩せ過ぎ」「猫背」体型にあたる。

スクワットチャレンジは50回から250回まで12月1日からクリスマスの25日まで回数を段階的に増やして行うものであり、元ネタは女性のヒップの形を整えるエクササイズプログラムなのだそうだ。

w氏は徒歩で筋肉痛になるほどなので察しは付くと思うが、およそ全ての運動から程遠く、肉体年齢は70歳を越えているかのようである。

運動に全く興味がなく、嫌悪する対象だが、致し方なくやるという感じがあふれたお約束の雰囲気で質問が飛んでくる。
たとえば
「スクワットだけやってればいいの」
だ。

確かにスクワットだけやってればいいという言い方も出来る。
しかし、いかにも初心者プログラマがあなたの前に現れて、簡単な説明中に
「if文だけ書いてればいいの」
と聞いてきたシーンを想像して欲しい。
Booleanというワードを出した途端に、ifだけでいいって言ったじゃんと逆ギレされる未来が浮かぶ。

そんなこんなで、まず25日までのスクワットチャレンジをキッチリやってみなよ、という話でその場は終わった。

あまりに歩く機会が少ないデスクワーカーは特に脚の筋肉が急激に落ちる。あっという間に歩行が困難になるのだ。私も怪我などの障害が発生し脚の運動をサボって半年も経つと、歩行の時に膝が変に落ちるようになる。脚を固定しようとする力が無くなってしまっているのだ。

 もちろん、スクワットなんてしなくても健康な脚を保つ方法はいくらでもある。しかし習慣に組み込む機会すらない場合、総じて時間がかかるか、あるいは好きでなければ飽きる。ヘビーなデスクワーカーにとってスクワットは極めて短時間で効果を上げることが出来る理想的な運動の一つではある。

・チャレンジとは
 チャレンジで勘違いしがちなことは、「やれば出来る」ということが大事だと思うことだが、たいていの場合そうではない。私たちが肝に銘じておくべきは、「続けないと出来なくなる」ということなのだ。このことを意識して最後まで読んで下されば幸いである。

・いつまで続ければいいのか?
脚は何か起きない限り彼にとって付きっぱなしのガジェットである。心肺、脳、そして脚だ。いつまでという質問が聞くだけ空しい事がわかるはずである。脚の筋肉は常にサボりに敏感で、火にくべた発泡スチロールのように小さくなる準備をしている。油断してはならない。

・どのくらい(何回)までやればいいのか
250回のスクワットチャレンジだが、1日250回きれいにやれば確かに維持には十分に思える。
しかし、人間は飽きる。変化もなく自重だけで250回もやればなおさらだ。健康は今の苦痛を耐えきるインセンティブになりづらいとされており、締め切り(健康にとってはたいてい終着駅だが)が近くなって初めて人は本気になる。また、健康と同様に、”維持”もあまりインセンティブにならない。
特にこの自重トレーニングというものは、やる前はスタイリッシュに見えるので挑戦したくなるのだが、いざやってみるとどうにも続きづらい。しんどいわりになかなか終わらないからだろうか。
(自重だけでこんな体に、という有名な動画があるが、有名な動画になるくらい難しいことだといえるかもしれない)

・どのくらいまで筋肉を付ければいいのか
脚の筋肉はあればある程いい。ありすぎると言うことは決して無いのだ。脚の筋肉だけで30kgあってズボンをはくのが不便だとしても、筋量不足で生まれたてのシカのような歩行であるよりよいはずである。
あるチャンピオンは腕のトレーニングの際、腕が服をそして部屋を突き破り、エベレストを越えることをイメージしていたという。脚は腕より大きく出来るはずだ。果ては火星か水星か。

・じゃあどうすればいいのか
こればかりはやるしかない。
そもそものモチベーションは、「思い通りに脚が動かない」という望まない状態にあーだこーだ理由を付けて安住したくなかった、といえる。サボろうと思えばいくらでもサボれたはずだ。しかしそれは嫌だったということだ。

どうせやるのだ。あーだこーだ言って脚のワークアウトの苦痛をごまかす立場に安住しようとしたら結果は付いてこないはずだ。
それなら、スクワット自体を好きな人だったらどうするのか、という考えをもち、積極的に行おう。好きで好きで仕方ない人が250回なんて回数を区切るだろうか?ない。せいぜい、これ以上やったら怪我や体力の面で危険だ、という理由で止めるくらいのはずだ。

スクワットならこんな道もあるはずである。これは精神の勝利の一例だ。

・スクワットが250回出来るようになる
・レッグプレスが自重の倍くらい上がるようになる
・バーベルを担げるようになる
・バーベルスクワットで体重のN倍に挑戦 上がらず
・食事面で痩せすぎを改善しようとする
・バーベルスクワットで体重のN倍に挑戦 上がらず
・怪我をし、ケアを学ぶ
・バーベルスクワットで体重のN倍に挑戦 上がらず・・・

以下になるのは望ましくない。肉体の要求に完敗した状態である。

・スクワットが250回出来るようになり、やめる
・膝が弱る
・臀部の筋肉が動かなくなり弱る
・やたら脚を組みたくなり、肘をどこかに置いた姿勢を取りたくなる
・猫背が強化される
・もも裏が硬くなる
・肩が前方に突き出る
・どこかが壊れる
・@wozozo はー

(余談だが、肩が前に突き出ているのはスクワットにとっても良くない場合が多いので、肩は日常から引くことを意識しよう)


※ちなみに、朝や夕の運動などが本当に生活に習慣づけられていれば、こんな大げさなスクワットは必要なく、”カジュアル”に”維持”出来る。俗に言う裕福な知的層はどちらかというとこちらを選ぶ傾向が強いようだ。(それでも多少きついが・・・)

・怪我がこわい
 if文よろしく、発生するバグが恐くてコードが書けないのですがという質問をされたことを想像してみよう。おお・・・
実はウエートを含むトレーニングは極めて安全なスポーツの部類に入り、正直、普通に指導を受ければ大した怪我は滅多にない。そもそも筋肉を増やすのにもっとも効率のいい英知の結晶だからだ。多少治癒に長くかかる怪我をしても、運動への積極性が維持出来ていればよいのだ。怪我に復讐する執念が欲しいものである。人間は筋肉や骨が主導するのではなく、たいていの場合手に入れた経験や神経が主導する。

正直なところ、私は場合によるが肉離れ程度の怪我ならリリース後のバグの方が恐い。

・最後に

物事全てに言えることではあるが、成長や改善は、積極的かどうかで、初心者か上級者かは一切関係ないのである。脚は甘えを許さない。これを足がかりに望まない位置に安住しないよう積極的な姿勢が取れることが望ましい。

この一瞬でやせ細る厄介な代物、デスクワーカーの太ももという怪物は当人の積極性に敏感に反応する。少しでも日和ったり、維持できればいいとか言い出すと骨も残さず無くなっていく。

さて、バーベルスクワットはともかく、自重スクワットはシンプルに体力の指標の一つと言える。

果たしてw氏は
・一ヶ月後
・一年後
・三年後
に連続スクワットを何回維持出来ているのか?
それとも全く新しい機能性に溢れた下半身をスクワットと言わず表現してくれるのか。

それはわからない。しかし今年の24、25日に彼に予定を聞いてみれば、きっとこんな返事が返ってくるはずだ。

@wozozo – 12月24日
今日の予定?スクワットだよ。メリー・クリスマス。