東日本大震災 4

私は近所の地震の被害を確認しようと家から出ると、お隣は崩れた塀が当たりかなり変形してしまった車を見て呆然としている。私はばつが悪そうに一礼し、最小限の近所の区画を一周することにした。たとえば箪笥にのしかかられている人がいるかもしれない。偶然にも体は温まっているため、助けられる可能性も僅かに上がっていた。

[ 不明 14:55分? 福島県相馬 第1波到達 ]

足の不自由な婦人が居る家に「大丈夫ですかー!」と呼びかけてみると、「あら、大丈夫よ-!」という返事が返ってきた。特に他にも異常は無いようだ。これで点検は終了のはずだった。

しかし自宅に戻ると、玄関の壁のタイルが一部欠けて落ちていた。ウロのような穴から除ける中は雑木林で倒れて朽ち、分解が始まった木の様そのものだ。
シロアリだ

鉄筋で出来ているとはいえ、一部に当然木が使われている。その一部が知らぬ間にシロアリに囓られていたのだ。

[画像は用意しておきます]

14年ほど前であろうか。シロアリに分解され尽くされた我が家の柱は人差し指で突いてみるとしっかりと中指のこぶしが当たる。そのこぶしが当たった衝撃で柱の内部はサラサラと乾燥した砂が落ちるような音を立てるというおまけ付きだ。
家族は共通した結果に落ち着いた。

「建て替えよう」

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シロアリ。阪神淡路大震災で木造住宅の倒壊原因として非常に多くの割合を占めたとされ、「人を殺す」生物として一躍脚光をあびた。現在も木造住宅の最大の脅威になっている。

シロアリの対策に関しては詳しく記述しないが、間違いなく「必要」である。ところが木造住宅を選んだとしても、その知識を持つ人はほとんどいない。とにかく白いアリが家を食いつぶすので困ったら業者に、といった認識のはずだ。

私はITのお仕事をしており、その中の仕事にソフトウェアを作っている。プログラムと呼ばれるものだ。そこにはいくつかのお約束がある。そのうちの2つを述べておく。

“自動化出来るものは、出来るだけ自動化せよ”
“緊急事態は最悪のタイミングでやってくる”

シロアリはなるほど丁寧に予防をして丁寧に駆除をしていけば防げるのだろう。だらしないと言われればそうなのかもしれない。

例えば家族が病気になったとする。お金が一時的にではあるが無くなったとする。
それはシロアリを駆除する期間である。
どこにでもある話だ。ありふれた話である。しかし、緊急事態は最悪のタイミングでやってくるのだ。

例えば北側に住む隣人が、盆栽が大好きだったとする。毎日水をたっぷりやるわけだ。その湿気はシロアリにとって最高の好物になるのである。
鉄筋はもちろん寿命もあるし、通常木も使われている。だが、シロアリが原因で地震の際に即倒壊という事態への対策が自動化されており、少なくとも気にしなくて住む。
それ以外にも、火災対策やそもそもの丈夫さもある。

木ばかり貶めてしまったが、もちろん、木の「美しさ」はある。特に最近の木造は昔より頑丈となっている。とてつもない手入れが必要だが、残っている歴史的建造物は今も人々を魅了するのである。選択肢として十分に存在するのだ。そんなとき私がアパレル業界に居た頃に覚えたこんな言葉を思い出して、面倒がらずに手入れをしていって欲しい。

“おしゃれは我慢比べ”

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ここでもし鉄筋じゃなかったら、余震のたびに怯える生活であったのは間違いない。
落ち着いたら色々対策をしなければならないだろうが、この時点で一瞬で倒壊という危険は避けられたのである。
シロアリの原因は私の中でだいたい固まっている。
決定的なのは、我が家の父親は北側にもやたら水が必要な木々を植え込んでいることだ。「根腐れしない程度までたっぷりとやる」
口癖である。いつのまにかシロアリにもたっぷりとやってしまっていたようだ。

そしてこの間まで私に情報は無かった。